マイホーム購入のための資金計画

マイホーム購入の際に、家の設計と同じくらい、いやそれ以上に大切になるのが資金計画です。自分たちが送りたい生活のバランスを崩さないローンの組み方や金額をしっかり考えていくことが大切です。

資金計画を間違えてしまうと、何十年も返済で苦しい思いをすることになってしまうかもしれません。自分たちが「どれぐらいのローンが組めるか」ではなく「どれぐらいのローンを組んでもバランスを崩さないか」を軸に考えていきましょう。

建物本体の工事費以外にも、さまざまな費用が必要です。

資金計画で必要なのは、各種費用がどれくらい必要かを知ることです。マイホーム購入の際は、土地代や建築費以外にもさまざまな費用が必要になります。

登記費用

土地や建物の所有者を証明するために必要なのが登記です。ほとんどの場合、司法書士に依頼することになります。国に納める費用と司法書士への謝礼を合わせると、50万円を超える場合もあります。一部は自分たちでも手続きが可能で、その場合は数万円の節約になります。事務手続きの作業が得意な人は検討してみてもいいでしょう。

火災保険

家のランニングコストとして馬鹿にならないのが火災保険です。木造住宅であれば、年間6~10万円ぐらいかかると考えましょう。ここをケチってしまうと、いざ火災や洪水などが起こった時に取り返しの付かないことになってしまうので、安さだけにこだわらず、しっかり保障を付けるようにしましょう。

木造住宅の場合は、鉄骨住宅に比べて火災保険のコストが高くなってしまいますが、火災に強い省令準耐火構造の基準を満たしていれば、コストを半額程度に抑えることもできます。設計上問題なければ、検討の余地はあるでしょう。

住宅ローンの初期費用

住宅ローンを組む際には、初期費用として借入額の1.1~2.2%程度の事務費用がかかります。約10万~数十万の出費になるので、諸費用として計上するのを忘れないようにしましょう。事務費用が安い分、金利が高くなるプランもありますが、トータルで考えると損になってしまうので注意が必要です。

外構費用

門扉やフェンス、カーポート、植栽などの外構費用も忘れがちですが、一戸建て住宅を建てる際は、土地+建物+外構が必要だということを覚えておきましょう。こだわりの庭にする場合はもちろんですが、比較的シンプルな内容にしたとしても意外に費用がかさみます。安く仕上げる場合でも建築費の約10%(100万円程度)、こだわるなら200~300万程度は見込んでおきましょう。

住宅ローンには、いろいろな組み方があります。

各種費用の予想が立ったら、次は住宅ローンです。住宅ローンは組み方によってその後の暮らしが全く変わってくるので、しっかりと考えなくてはいけません。まずはその種類をご紹介。

全期間固定金利型

借入期間ずっと金利が変わらないローンです。このタイプの中で代表的なものがフラット35。公的なローンのため民間のローンと比べて審査は緩いですが、融資の実行が家の引き渡しのときになってしまうので、土地購入や着工金・中間金を支払うために“つなぎのローン”が必要となる場合があります。

フラット35以外にも銀行独自の全期間固定金利があり、こちらはつなぎローンは必要ないですが若干審査は厳しめです。

変動金利型

返済途中で定期的(6カ月ごと)に金利が見直されるローンです。借り入れ時の金利は一般的に他のタイプよりも低いけれど、金利が上昇した場合は返済額が増加し、予定していたライフプランが崩れる場合があるので注意が必要です。

固定期間選択型

あらかじめ決められた期間において金利が固定される、全期間固定金利型と変動金利型の中間にあたるローンです。固定金利期間は、3年、5年、10年などから選べ、その期間が過ぎると金利が再設定されますが、ほとんどの場合当初よりも金利は高くなります。

きになるポイント①
おすすめのローンはありますか?
ファイナンシャルプランナー・尾山先生

現在は極端に低金利の時代なので、金利がこれ以上下がることは考えにくいです。3つのタイプのローンは、どれも最低水準の金利になっていると考えられます。となると、この最低水準の金利を使える期間が短い変動金利型はまず除外されるでしょう。固定期間選択型では固定期間が過ぎるとあらためて金利が決まり直しますが、そのとき今のようなマイナス金利が続いている可能性は高くないので、全期間固定型でローンを組むのがお得です。返済額が最後まで変わらないため、ローンの金利変更のせいでライフプランが狂うことがないというのも大きな利点ですね。

きになるポイント②
まとまった頭金って必要ですか?
ファイナンシャルプランナー・尾山先生

住宅ローンの返済を少しでも楽にしようと考えると、少しでも頭金を用意した方がいいようにも思えますが、実はそうでもありません。毎月の収入と支出を確認し、頭金なしでも返済できる金額であれば無理に頭金を入れる必要はないし、頭金に入れる分のお金を投資信託などで資産運用する方が断然お得な場合も多くあります。単純に毎月の支出を減らしたいのであれば、加入している保険の見直しや生活費のチェックなど、家計を見直すという方法から始めましょう。このあたりは住宅ローンの知識だけではなく、投資や保険などの知識があり、長期のライフプランニングを得意とするファイナンシャルプランナーに相談してみるのが良いでしょう。

住宅ローン控除と親からの資金援助について

他にもマイホーム購入のときに関係してくる2つのお金のテーマについて考えてみましょう。

住宅ローン減税制度

住宅ローンを借り入れて住宅を取得した場合に、本来支払うべき所得税の支払い負担を軽減してくれる制度です。毎年末の住宅ローン残高または住宅の取得価格のうち、いずれか少ない方の金額の1%が10年にわたり所得税から控除されます。控除しきれない場合は、翌年の住民税から控除することになりますが、それでも控除しきれない場合があります。この場合、共働きであれば夫婦でローンを組むことで減税額を増やすことが可能です。

資金援助の注意点

両親からの資金援助は非常にありがたいもの。しかし、たとえ家族であっても、財産をもらい受ける場合は、もらった側に贈与税がかかります。住宅購入の際には、専用の非課税枠があるなど特例がありますが、安易に贈与を行ってしまうと、本来受けられる特例の対象外になってしまうリスクがあるばかりか、延滞税まで払うハメになってしまうかもしれません。贈与を考えている場合は、まずプロに相談しましょう。

まとめ

住宅ローンは家族にとって長期の支出となるため、完済したときにはもう老後に突入しているか、老後が目の前まで迫っていることがほとんどです。それまでには子どもの進学など、お金のかかるイベントが目白押しです。ということは、現在の生活だけでなく、教育費や老後の生活までトータルに考え、ライフプランニングができる人でなければ、ぴったりのプランや返済方法を見極められません。特に老後については投資の知識が必須とも言えるでしょう。

ファイナンシャルプランナーの中でも、自分たちにわかりやすく説明してくれ、長期の経済の見通しもしっかりと予測してアドバイスをくれる人を頼るといいでしょう。

【記事監修】
『haco life』代表ファイナンシャルプランナー
尾山道郎(おやま みちお)さん

株式会社HACOコンサルティング事業部『haco life』
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この記事の監修者

HOME STOCK編集部

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